「ルブタン」の“赤”、知財高裁も請求棄却 レッドソールの保護は“公益性の例外”として認められず

 

https://www.wwdjapan.com/articles/1516611
(WWD JAPAN 2023年2月27日付記事より)

 

レッドソールで知られているフランスの高級婦人靴メーカー「クリスチャン ルブタン」の「レッドソール商標」ですが、知財高裁も登録を認めませんでした。

 

知財高裁が、ルブタンが登録を受けることができる要件として挙げたのは、下記の3つの要件です。

・「レッドソール」を使用することで、ルブタンの商品であることが需要者の間に広く認識されているか
・「レッドソール」を商品に使用した場合に、他社商品と区別できるか
・「レッドソール」の独占使用を認めることは公益上許容されるか

 

そもそも、色彩の商標について登録を受けることができたのは、これまで9例のみであり、しかもこの「レッドソール商標」のような「単色」の商標について登録が認められた例は一つもありません。

 

結果としては、「公益性の例外として認められる程度の高度の自他商品識別力を獲得していると認めることができない」というのが、知財高裁が登録を認めなかった理由です。

 

この「クリスチャン ルブタン」の「レッドソール商標」について登録を受けるための行動は、審査 → 拒絶査定不服審判 → 審決取消訴訟 というステップを、対特許庁、対知財高裁という構造で進めますが、本件の特殊なところは、逐一、「一般社団法人日本皮革産業連合会」が拒絶をするよう上申しているところです。

 

「一般社団法人日本皮革産業連合会」には、「日本靴小売商連盟」、「日本靴卸団体連合会」、「全日本革靴工業協同組合連合会」、「特定非営利活動法人 日本靴工業会」、「日本ケミカルシューズ工業組合」が加入しており、また、「クリスチャン ルブタン」が不正競争防止法違反で訴えた「エイゾー」も加入しています。

 

まるで、「クリスチャン ルブタン vs 日本の靴業界」の様相です。

 

そういうところもあって、「公益上も支障がある」との認定が知財高裁でなされたのかもしれません。

 

ですが、個人的には、人目につかない「靴底」に目の覚めるような赤色を施すというのは、通常はしないことですし、この商標登録出願は、実際には「色彩のみからなる商標」ではなく「位置商標」ですから、「色彩」よりも「位置」にウエイトが置かれるべきだと思いますので、そうした観点から別の攻め方はなかったのかなと思いました。

 

結果として、「一般社団法人日本皮革産業連合会」とやり合わなければならなかったというのが、「クリスチャン ルブタン」にとって一番厳しいことだったのかもしれません。

 

きらめき国際特許事務所

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