iPS細胞で広範囲の特許取得 京都大、医療応用へ

iPS細胞の特許に関する記事についてです。

 

http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013122001002343.html

(47NEWS・共同ニュース 2013年12月20日付記事より)

 

「今回は特定の遺伝子を決めずにiPS細胞の作製工程に特許が認められており、

広範囲で強固な特許権」ということで、その内容を見てみましょう。

 

請求項は1つだけでして、

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以下の(1)~(3)の工程を含む、誘導多能性幹細胞の製造方法:

(1)ES細胞で特異的な発現または高発現を示す遺伝子、

WntシグナルまたはLIFシグナルにより活性化される因子をコードする遺伝子、

ES細胞の分化多能性維持に必須の遺伝子、およびそれらのファミリー遺伝子から、

体細胞へ導入することにより内在性のOct3/4遺伝子及びNanog遺伝子を

発現させる遺伝子の組み合せを選択する工程、

(2)工程(1)で選択された遺伝子の組み合わせを体細胞に導入する工程、および

(3)工程(2)で得られた細胞を培養する工程。

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との内容です。

 

慣れないとなかなか難しい内容ですよね。

 

でも、一方では、突っ込みどころありと思われる方もいらっしゃるでしょう。

 

例えば、「・・・から、体細胞へ導入することにより・・・

遺伝子の『組み合せを選択する』工程」ですから、いくつかのパターンさえやってみて、

できていればいいということなのだと思いますが、

「ES細胞で特異的な発現または高発現を示す遺伝子」というだけでもかなり広範ですので、

「遺伝子の組み合わせを選択する工程」とはいえ、ここまでいっていいものかどうかとか、

 

あるいは、「内在性の・・・Nanog遺伝子を発現させる」となると、

米国でNanogについて特許を取っている某企業との関係がどうなるのかとか、

 

米マサチューセッツ工科大のルドルフ・イェーニッシュ教授の

概念的な出願に近づくのではないかとか。

 

ちなみに、イェーニッシュ教授といえば、

「山中教授は(iPS細胞を作成したといことで)実施したのは最初だが、

アイデアは我々が最初」とおっしゃっているこでも有名です。

 

いずれにせよ、Ciraの高尾さんの「一日も早く医療応用を目指したい」とは、

まったくおっしゃる通りですね。