米GMとクルーズ、フォードを提訴 ハンズフリー運転の名称で

 

https://jp.reuters.com/article/gm-ford-litigation-idJPL4N2P2079
(REUTERS 2021年7月26日付記事より)

 

米ゼネラル・モーターズ(GM)と、GMの自動運転子会社であるクルーズは、フォード・モーターが自社のハンズフリー運転技術に「ブルークルーズ」の名称を使用していることに対し、商標権侵害であるとして提訴し、「ブルークルーズ」の名称の使用差し止めを求めた事件です。

 

この事件に関係なく、日本における商標の類否判断の事例としては、分かりやすい事例だと思いますので、日本における商標の類否判断の事例として解説します。

 

GMらの登録商標:スーパークルーズ、クルーズ
指定役務:自動運転車用コンピュータプログラムの提供

フォードの使用商標:ブルークルーズ
指定役務:自動運転技術・自動運転車・自動運転車用のコンピュータソフトウェアに関する試験・研究・設計・開発、自動運転車用コンピュータプログラムの提供

※「役務」とは「サービス」のことです。

 

例えば、上記のような場合、

 

(1)GMらの登録商標「スーパークルーズ」及び「クルーズ」と、フォードの使用商標「ブルークルーズ」とが、類似しようが、類似しまいが、フォードが、商標「ブルークルーズ」の使用を「自動運転車用コンピュータプログラムの提供」についてやめることができるなら、GMの商標権を侵害することにはなりません。

なぜならば、「自動運転車用コンピュータプログラムの提供」という役務と「自動運転技術・自動運転車・自動運転車用のコンピュータソフトウェアに関する試験・研究・設計・開発」という役務が、互いに類似しないからです。

 

(2)商標の類否判断は、①外観(見た目)、②称呼(呼び方)、③観念(意味合い)に基づいて判断され、これらの一つでも共通する場合は、原則として「類似」と判断されますが、例外もあります。

本件の場合、GMらの登録商標「スーパークルーズ」と、フォードの使用商標「ブルークルーズ」とは、①外観、②称呼、③観念のいずれも共通しませんので、「非類似」と判断されます。

一方、GMらの登録商標「クルーズ」と、フォードの使用商標「ブルークルーズ」との類否判断ですが、フォードの使用商標「ブルークルーズ」を構成する文字「ブルー」が、普通に用いられている形容詞であり、識別性がない場合、フォードの使用商標「ブルークルーズ」の識別力を発揮する部分は「クルーズ」であるとして、フォードの使用商標「ブルークルーズ」からは「クルーズ」との②称呼及び③観念が生じると認定され、GMらの登録商標「クルーズ」と、フォードの使用商標「ブルークルーズ」とは「類似」であると判断されてしまいます。

ですが、本件の場合、GMらの登録商標「クルーズ」が指定する役務「自動運転車用コンピュータプログラムの提供」について、「ブルー」という語が普通に用いられている実情はありませんので、フォードの使用商標「ブルークルーズ」からは「クルーズ」との②称呼及び③観念は生じません。従って、GMらの登録商標「クルーズ」と、フォードの使用商標「ブルークルーズ」とは、「非類似」ということになります。

 

変な審査官に当たらない限り、以上のような判断がなされると思料します。ご参考ください。

 

きらめき国際特許事務所

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